開幕(CBT勉強0日目)
再試験のおしらせ
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以下の生徒は○月○日の○時に講義室にて再試験を受験してください
""""""俺の番号""""""
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医学部最底辺の当たり前の日常
何度見たことか。何度地獄を見たことか。先に言っておこう。俺は別に勉強してなかったわけではない。ただ、ちょっと…人より勉強を始める時間が、ちょっとだけ!いいか!ちょっとだけ!遅かったのである。人間である以上、失敗は付き物である。ただちょっとだけ他の人より失敗する頻度が多いくらいか。
しかし失敗は失敗である。「あいつまた落ちてるべ。ギャハハハwwww」と田舎モノ丸出しの同級生たちに後ろ指差され、俺は頭をがっくり下げ、ただでさえ頼りない小さい背中が小さく見られてしまう。
ーいいんだ、これはネタになる。30いいねは稼げるんぞ。
そう言い聞かせて今まで乗り切ってきた。
(無事、再試験は通りました!)
決意の日
しばらくして、昨日のこと。また試験の結果が張り出されていた。難しい試験だった。めったに落ちない人も落ちていた試験であった。
「あんれ、おめぇ、珍しく受かってるべ」
同級生に言われた何気ない一言。この一言がそう、伝説の始まりである。
深く傷ついた。その場では「ファボ稼げねえじゃねえか。ハハハ。」と乾いた笑いで適当にあしらって帰ったが、自宅に着いてドアを閉じた途端、涙をこらえきれず咽び泣いた。
ーー俺は同級生の中で最底辺だ。それは周知の事実なのだ。これまでも。そしてきっと、これからも。
その日は泣きに泣いた。夕飯に取っておいた大好きなバナナも食べずに。
泣き疲れて、気付いてたら寝ていたようで、目を覚ましたら朝になってた。 すっかり気分も晴れ、腐ったバナナを貪るくらい元気になっていた。さすがは国公立医学生の俺、医学部合格の秘訣は切り替えの早さだな、バナナは熟してなんぼだな、と思いながら今までのことを振り返ってみると、大学入ってからというもののこれと言って勉強に打ち込んでいない自分が恥ずかしく思えてきた。
ーーそうだ、満点を取って、あの田舎者たちを見返してやろう。
あとひと月もすれば4年生になる。そして4年の夏に大学受験以来の大きな試験である、共用試験が待ち受けている。
「そうだ!CBTで満点取ってやるぞ!」
学年最底辺が満点を取りに行くなんて無謀な挑戦かもしれない。しかし、医学部に合格できるほどの知能を秘めた俺ならできると信じている。満点を取ってその名を轟かせてやる!俺は伝説の人になるんだ!
決意をあらわにした0日目であった。この日は腹痛でトイレに籠っていた。